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2009/05/01(Fri)00:58

『ウェブログ炎上!? 罪深き美少年は
               ローズフレグランスの香り の巻



 先日、ボクが通っている学校近隣の、とある衣料品店が閉店撤退していた。
 個人が営んでいるお店ではなく、全国にチェーンを展開する大手アパレル企業の一支店で、店舗の規模もそれなりに大きなところだったのだけれど……。

 実はボク……この店舗の撤退について、ちょっとした心当たりがあるんだ。
 もしやそれを告白する事によって、いま巷でムーヴメントのウェブログ炎上なる事態が、当『2年C組学級委員長 門前寺明子のオタク撲滅日誌』に巻き起こってしまうやもしれない。
 だが、きっとボクのグルーピー達が望んでいるのは、いつだってありのままのネイキッドな鴛鶯鸚哥丸 秀のハズで…………。

 そうして自分なりに色々と熟考を重ねた末、ボクは今回、ウェブログ炎上も辞さない覚悟で、自分が不覚にも犯してしまった消せない罪を、この場で告白させていただく事に決めたんだ。
 あぁ……、今思い返してもあれは本当に……。そう、惨劇としか表現しようのないものだったよ。
 このボクがたった一人の暴漢によって、完全に(なぶ)られてしまったのだから…………。


 話は四ヶ月ほど前にさかのぼる。まだまだ人々はニューイヤーという祭りの余韻に浮かれ、冷え切った風が我が物顔で街角を吹き抜ける、そんな真冬のとある日の出来事だ。
 ご存知の通りこの鴛鶯鸚哥丸 秀、おなじみの学生服はもちろんの事、カジュアルな私服から、フォーマルな正装、コケティッシュでお茶目なパーティ衣装や、ちょっぴり過激で扇情的なステージコスチューム、それからパジャマ、靴下、レインコート、ハットの類、そして…………フフ。
 みんなが興味マンマンのアンダーウェアに至るまで、普段身に着けている物のほとんどは、ボク自らデザインして有名メーカーに仕立てさせた特注品なのだ。

 けれども放課後、ボクは同じクラブの友人たちに付き合うという形で、ひょんな事から件の衣料品店に赴く事になったのさ。
 そのお店はメインターゲットが比較的若年層に向けられていて、店内にはいかにも非高級な素材で作られているであろう、見るからにチープな衣服たちがたくさん並べられていた。価格も一万円を超える様な物はあまり無くて、まあ常並みの高校生には、これ位のお店がうってつけなのだろう。

 けれど、その商品郡のあまりのキッチュさに、ボクのハートは逆にPing! Ping! 反応(き)てしまってね。 (ふむ、たまにはこういう所で衣服を調達するのもアリかもしれない) なんて思ったのさ。
 …………しかし、これが全ての悲劇の始まりだったんだ……。

 ボクが商品をもの珍しげに物色していると、すわ二十台後半と思しき、細身で少しばかり気の弱そうな、分かりやすく例えれば蜉蝣(かげろう)チックなメンズが、「お客様、何かお探しでしょうか?」 と声をかけてきた。
 どうやら店員らしい彼の全身には貧弱さがバキバキに(たぎ)っており、お店のロゴ入りエプロンの紐が今にも撫で肩からズレ落ちそうで、そのシルエットは、なんとなく半分に割ったパピコを連想させた。
 まあ、お恥ずかしながら、ボクは一般の人達がする様なファッションってあまりよく分からないからね。良い機会だし、彼にコーディネイトをお任せする事にしたのさ。

「うむ、そうだね。では防寒に優れた物を――」
 そんなボクの言葉が言い終わらぬ内に店員氏、その細い両の眼(まなこ)ハッ!と見開き、青ざめた顔に驚愕の表情を浮かべながら、こう戦慄(わなな)いたんだ。

「えっ! ご、強姦!?」


 違うッ! 強姦じゃないッッ!!


 クッ…………、あまりの事にこちらの方が動転してしまったじゃないか。
 まったく、いったい彼はどんなカタツムリ管と思考回路をしているんだ!
 よしんばボクが本物のレイパーだったとて、その時の衣装をわざわざ一地方の衣料品チェーン店従業員に相談するわけがないだろう、モラルをわきまえたまえよ!
 ボクはいったい(なに)ウザーさんなんだ!? えぇ?

 此処はいったい、何ロイトメタルシティなんだいッ!?



 ……まったく、失礼しちゃうニャン!
 そのうえ薄情な事に、その場に居合わせていた友人の一人であるSクンは、「ぎゃはははは! そりゃまあ、お前が言うと大抵の単語は婦女暴行関連のフレーズに聞こえるもんなあ!」なんて笑い転げているし、もう一人の友人Hクンは、まるで 『あの美少年は自分の関係者じゃなかですばい』という風に、他人のフリを決め込みながら、逃げるように店外へESKEPUさ。

 ああ、なんという恥辱!
 搾りたての紳士をギュッと凝縮したようなこのボクが、あろう事かレイプマン扱いされるだなんて!
 これはむしろ、ボクの方が公開レイプされたようなものじゃないか。
 もう、ボクの心のパンティストッキングは、取り返しのつかない位ズタボロさ。
『レイプ魔』のレッテルを焼印でジュウゥ~ってされて、もはやそんな場所になんて一秒たりとも居(お)られるものか!
 そうしてボクは、悔しさに咽び泣きながらセンチメント・エキスプレスに飛び乗って、この身ひとつで悲しみのない街へと旅立ったんだ。

 …………いやまあしかし。
 ここまで書いてふと思ったのだけれど、こんな日常の珍体験的なエピソードをつらつらと書き連ねるだけだなんて、なんだか有閑マダムが暇つぶしでやっているウェブログみたいだよね。
 もしやこの『2年C組学級委員長 門前寺明子のオタク撲滅日誌』に記すような内容ではなかったかな?
 よくよく考えてみると、ここよりもむしろ『大沢悠里のお色気大賞』か、もしくは『実話ナックルズ』にでも送るべきエピソードだったかもしれないね。お目汚しだったならばSORRY寺西。

 えっ、それで秀ちゃんが冒頭で言っていた『消せない罪』って一体何の事かって?
 ……だってあの時、ボクが運命に逆らったりせずに、耐え難きを耐え忍び難きを忍んで、強姦魔1/2の汚名をあえて受けながらも、ちゃんと商品を購入してさえいれば、あの店舗は今ごろ撤退せずに済んだかもしれないじゃないか。

 どうだい、こんなにいけないボクだもの、このウェブログが炎上してしまうのも時間の問題だろう?
 けれどもご安心召され。この鴛鶯鸚哥丸 秀、もはやネットリテラシーの番人と言っても過言ではない存在だからね。そんなボクにとってはウェブログ炎上など、吉原炎上に比べれば大した問題じゃないのさ。

 うむ、罪の告白をしたら何だか気が楽になったよ。ディスプレイの前のみんなも、お家や学校や職場で、己の犯してきた非道い悪事を是非告白してみてね。
 それじゃあ、鴛鶯鸚哥丸 秀でした。 She You Next Time!!




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このウェブログへのリンクが自由かだって?
フフ……、だが一体、自由とは何だか、キミ考えた事はあるかい?
おおリバティー、アビスの深淵にも、エデンの果てにも、ボクにはそれを知る事はできない。
しかしながら、この身が薔薇の茨に巻かれようとも、また月の光に蝕まれようとも、
彼の人の存在こそあれば、ボクの心はいつでも自由に羽ばたけるのさ。
I'm dancing is yourself won't be freedom
I'm dancing is yourself won't be freedom
I'm dancing is yourself won't be freedom

ボクこそが自由、ボクこそがリバティー、ボクこそがフリーダム。
フフ……そんなわけで、リンクは「FREE」さ。


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